梅仕事で言われる「土用干し」って何?
干し方のコツは?
干したあとはどうするの?
そんな疑問を解決します♪
梅干しの土用干しとは?土用干しの効果は?
梅干しの土用干しとは、梅漬けを梅干しにする為に三日三晩を使って梅を干すことを意味します。
そして土用干しの効果としては
・余分な水分を蒸発させ保存性を高める
・日差しと夜露を交互に当てて梅の皮と果肉を柔らかくさせる
これらが挙げられます。
一般的に、7月20日頃~8月7日頃までの土用の時期が一番晴れの天候が続きやすくまた空気も乾燥しています。そして太陽の熱が一番強い時期でもあるので殺菌効果も一番期待出来る期間であるという訳です。

日中に梅漬けを日光に当てて水分を蒸発させ、浮き出てきた塩の白い結晶を夜露で溶かしてまた梅に戻していきます。夜露が降らなくても、夜間の温度低下で空気中の水分を含んでしっとりとなります。
それを三日三晩行うことで梅に塩が馴染み、風味豊かでまろやかな味の梅干しに仕上がるという仕組みです。
土用干しと梅雨明けの関係は?
時々、梅雨が明けたら土用干しをすれば良いと勘違いする人がいますが、本来の意味としてはそうではなくて、梅雨が7月初旬に明けても中旬に明けても梅干しは7月20日前後の土用まで待って干すもの、が正しいです。土用干し=梅雨明け干しではないよ、ということですね。
「土用の丑の日にうなぎを食べる」はよく耳にすると思いますが、梅干しの土用干しはこの「土用」と同じものを指しています。
土用とは暦の中の時期を表す言葉の一つです。
毎年7月21日頃から8月7日の立秋前日までの期間を土用と言って、閏年の時は1日前にズレます。
ということなので、梅干しの土用干しは7月20日前後の土用入りになってからするものだというのが土用干しの意味するところとなります。
という訳なので、梅雨明けと梅干しに関係はありません。
たまたま梅雨明けと土用入りが近いので混同しがちですが、梅は「土用」に干すものと昔から決まっていました。たとえば梅干しの他にも、着物などの衣類や本の虫干しをしたり、梅以外にも保存食品を干して乾物を作ったりすることも土用干しと言いますよね。
太陽の日差しの効果を一番効率よく得られる時期に干しものをする、その行為を土用干しと言う、ということなのですね^^
梅干しの土用干しのタイミングは?
土用干しと言いますから梅の土用干しも土用の頃を目安にしますが、とは言え厳密に土用に干さなければいけないということではありません。
梅を漬け始めてからどれくらい経ったら土用干しをすれば良いのか?というと、タイミングとしては漬け込み後1ヶ月ほど経ってから天日干しします。
漬けが浅いと干した時に美味しくなりきりません。
灰汁の抜けが甘く塩が馴染みきっていないような味になってしまいます。
正しく梅干しを作るなら1ヶ月を逆算して梅漬けを作るのが正解になりますが、でも土用に間に合わなくてもそれ以降に干せば良いので安心して下さい◎そこまで神経質にならなくても大丈夫です^^
また赤紫蘇も一緒に漬ける場合でも、「紫蘇を入れてから何日経ったら干す」という決まりがあるわけでもなく、あくまで「梅を干すのに適した日」に干せばOKです。
梅干しの土用干しのやり方
梅干しの土用干しの手順は次のとおりです。
1、午前中に梅をザルに並べて天日干しします
2、昼過ぎには一度梅を全部ひっくり返します
このひっくり返す作業は、梅が完全に乾いて皮がザルにくっついてしまう前に行います。
完全にくっつかないよう時々様子を見ながら、裏返す時は皮を破らないように気をつけて裏返してください。
もし破けてしまっても大丈夫。その時は手でつまんで直してあげてください。
3、その後も様子を見ながら何回か裏返して、梅全体にまんべんなく太陽を当てましょう
4、夜になっても梅は外に出したままにして翌日また天日干しをします
この作業を3日間続けます
夜は外に出しっぱなしに出来ない場合もあるでしょうから、その時は夜は室内に取り込んでおいて問題ありません。
忙しくて午前中に干せないという時は、午後から干して夜には室内に取り込んで、を4~5日続けも大丈夫です。ライフスタイルに合わせて上手く時間を見付けて干しましょう。
▽埃や虫などが気になる方にはフード付きの竹ザルがおすすめです◎
また紫蘇も一緒に漬け込んでいる場合は赤紫蘇も一緒に広げて干しましょう。
ついでに梅酢も一緒に、容器に軽くラップなどして干して殺菌してもOKです。
梅酢は日が沈んだら室内に取り込みましょう。

この土用干しの干し方ですが、地域によって多少やり方に違いがあります。
●梅酢には戻さずに3日間干し続ける(上記↑の方法です)
●1日目は干した後に梅酢に戻して、その後3日間は干し続ける
●3日間全て、干して漬けてを繰り返す
などです。
梅の状態によっては干すのは1日だけで保存してしまう、という人もいます。
どの方法が正解、というものではなくてどんな梅干しを作りたいか?で方法が変わります。また自分の作りやすいやり方であればそれが正解の手順です◎
硬くてしょっぱ過ぎる梅干しになってしまったら!?
日に当てすぎて乾燥し硬くなって塩辛い梅干しになってしまって食べられない…そんな梅干しでも大丈夫!
そんな時は、沸騰させたお湯に梅干しを短時間くぐらせて、その後少しだけ天日で干し直してみてください。天候の関係で天日干しができなかったら、それはそれで干さずに梅漬けとすれば柔らかさが戻って美味しく食べられます。
お湯の中に入れたりしたら殺菌作用が弱まってカビるんじゃないの!?と思うかもしれませんが、そもそもの段階でカビたりしないように保存食の役割として20%の塩分で漬け込んでいますから心配ご無用です^^
またお湯にくぐらせるのではなくもう一度梅酢に漬けて水分を含ませてやわらかくする方法もあります。だだし、干して漬けてと漬け込みを繰り返すとそれだけ梅が塩分を吸ってだんだん味が濃くなっていくので加減に気をつけて下さい◎
梅は夏だけじゃなく冬にも干せる?!
雪の降らない地域なら梅は冬に干すことも出来たりします。関東地方は冬晴れが続く日も多いです。
冬に天日干しをした梅は、冬だと夏に比べて日差しが弱いのでまた違った仕上がりになります。
そう。言ってしまえば、梅干しは土用干しに固執する必要はないんです。
言葉の意味としての土用干しはありますが、でも実際には9月に干しても良いし、12月に干しても良いんです。
自分の無理のないときに天日干しをして、干す日数も3日間にこだわらなくて大丈夫。自分の好みのやわらかさに仕上がればそこで立派な梅干しの完成です♪
▽乾物ネットで干すのでも全然OK!

土用干しの後はどうするの?
梅の土用干しを終えたら保存をしますが、その保存方法にもいくつかやり方があります。
●梅酢にはもう漬けず、梅だけを保存容器に入れて程よい柔らかみと凝縮した味をたのしむ
●残った梅酢に戻して柔らかくしっとりさせる
※この場合は更に梅酢を含んで干し上がりよりも少し塩分が強めに仕上がります
●一度梅酢の中にくぐらせてから保存する
●数日だけ梅酢に漬けてその後は取り出して保存する
などなど色々できます。
はじめてだとどれが好みかは解らないと思うので、土用干し後にいくつかに分けて保管してみるのも手ですよ^^
それで自分の好みがわかれば次からはその方法で漬ければ良いですね♪
▽いろんな保存容器に分けて食べるのも楽しいですね◎
梅干しの土用干しのタイミングと干し方、干した後の保存方法 まとめ
梅干し作りに「絶対にこうしなければいけない!」という決まりはありません。
住んでいる地域の気候によってやり方に多少のバラつきが出るのは当然ですし、生活環境も違うわけですからレシピ通りに作れないことだってままあります。それにそもそもの好みの問題もありますしね。
梅仕事は奥深いものです。
焦らずのんびりと。
自分なりの美味しい梅干しを作ってください♪
コメント
ありがとうございました 助かりました
初めての梅干しをつけ、わからない事や不思議に思っていた事がはっきりしました。
yomogiさん
コメントありがとうございます^^ お役に立てて嬉しいです!
梅仕事は梅の状態や天候等で状態も変わってくる奥深いものですし
はじめてだと尚の事わからないことがたくさんですよね。
yomogiさんの思った仕上がりの味わいに近付きますように*。
参考になりました。m(_ _)m
MOSさん
こんにちはコメントありがとうございます^^
今年は梅雨明けがすごく早くて
季節が1ヶ月ほど前倒しで流れてしまう気もして
梅干しを干すタイミングも迷ってしまいますね。
天気予報とにらめっこしつつ ><
少しでもお役に立てましたら幸いです*
とても参考になりました!干し方、干した後の保存方法、梅干し作りに絶対は無いってことはがわかりました。初めて作ったので不安はあったのですがきっと美味しくできると思います!
Deenさん
コメントありがとうございます^^
きっと作り方を参考にされたサイトやレシピ本があると思いますが
その情報が絶対、という訳でもないんですよね。
現に梅干し作りのレシピって山程ありますし。
Deenさんに合った良いところは活用して、
コレは自分とは違うかな~というところは変えて。
そういうのを繰り返していくとDeenさんオリジナルの
梅干し作りのコツが段々とわかっていくと思います.*
仕上がりが楽しみですね!♪
土用干しの際に、雨に濡れてしまったら、どうしたらよいでしょうか。
うちは、集合住宅で、隣家がヘビースモーカーなので、どこに干そうか、と悩んでもいます。
梅干しさん太郎さん
ご訪問、またコメントありがとうございます^^
土用干しの際に雨に濡れてしまったら…ということですが、雨に濡れてしまった場合は水分を拭き取りアルコールで消毒を施してから再度干す、という手順をとります。
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1、ペーパータオルや清潔な布巾で濡れてしまった梅を拭きます
2、梅をビニール袋に入れてアルコールを梅全体にかかるように振りかけ、袋の口を縛ったらそのまま30分ほど置いておきます
(使用するアルコールは、度数が低いとお酒に含まれる糖分などで逆に雑菌やカビを繁殖させてしまう可能性があるので35%以上のものを使用します)
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そのあとまた干せば大丈夫です。
梅がカビてしまわないうちに出来るだけ手早く処置をしましょう!
もし小雨レベルではなく雨にぐっしょり濡らしてしまったという場合は、1.2の処置の後、風味が落ちてしまわないように梅酢に3日ほど漬け直してから干します。その際に使う梅酢は濡れてしまった梅用に別途分けて使うと安心です◎
* * *
また隣家の煙草の煙がネックということですが、梅干しは室内干しで作ることも可能ですよ!日当たりの良い部屋の窓際で干せばちゃんと梅干しになります。空気の流れが出来るように扇風機を回すと尚良しです^^
或いは、梅干しは干さない梅漬けの状態でも食べられるものなので今回は梅漬けにしてしまうというのも手です。干した場合と違ってやわらかいのでカビなど心配になるかもしれませんが、しっかりとした塩分濃度で作ってあればなんら問題ありません。梅酢ごとビンなど保存容器に入れて、常温で保存して食べられます。ご検討なさってみてください♪
おいしく仕上がりますように‥*.゚