最近日本でもクリスマスの時期によく見かけるパネトーネ。
でもパネトーネって、どういうもの?
今回はパネトーネの特徴やその名前の由来から、食べ方や保存方法をご紹介します。
きっとパネトーネを買いに行きたくなってしまいますよ♪
パネトーネとは?パネトーネの由来と特徴
パネトーネ(panettone)は「大きいパン」という意味です。
パネが「パン」、トーネが「大きい」、そのままの意味ですね。覚えやすい!
パネトーネ、またパネットーネとも言いますがどちらが正しい、間違いということはないです。日本ではパネトーネの表記の方がよく見かけます。
パネトーネはイタリアのミラノが発祥の地とされている菓子パンで、数百年にわたって受け継がれてきた伝統的な発酵菓子です。
卵黄とバターをたっぷり使って熟成発酵させた柔らかな生地に、レーズン、オレンジピールなどのドライフルーツを混ぜ合わせてドーム型に焼き上げます。表面はしっとりとした焼き色、内側は独特の豊かな風味が香ります。
その大きさは、元々は大勢で分けて食べられるホールケーキ並の大きなものでしたが、現在ではその他にもマフィンのように小さいものもあったりと様々です。
日本のコンビニでも手軽に食べられるマフィン大のものが売られていたりもします。
パネトーネには食べる期間があります。それはクリスマスの時期。
クリスマスの4週間前、アドヴェントと言うクリスマスを待つ準備期間から各家庭でパネトーネを焼いて、それを親族や友人に配る習慣がありました。それをクリスマス当日にかけて食べていきます。
なのでその時期になると大きなパネトーネが家の中にゴロゴロしていました。
ですがパネトーネは作るのが難しく大変なので、現在ではパン屋やスーパーで買って済ませる人が多くなっています。
そしてイタリアには日本のようにクリスマスケーキというものが存在しません。イタリアでクリスマスのお菓子・ケーキと言えばそれはパネトーネ、ということなんですね。
なのでイタリアではこのクリスマスの時期にパネトーネはなくてはならない存在なのです。
本来ならクリスマス時期の食べ物なんですが、最近では1年を通して食べられるようになってきています。
イタリア人がみんな好きな美味しいお菓子なのになんでクリスマスの時期にしか食べられないの!?という純粋な欲求(笑)があって、それならばと年間通してパン屋やケーキ屋などで作られ楽しまれるようになってきています。
またクリスマスだけじゃなくバレンタインやイースターなどでも欠かせないものとなっています。
と、いうことで、パネトーネはイタリアを代表するお菓子でありまたイタリア各地で作られているんですが、特にミラノのものが有名でミラノの銘菓でもあります。別名を「ミラノのドーム形の菓子」「ミラノのカステラ風菓子」とも言ったりします。
パネトーネの由来
さて、そんなパネートーネ、最初にお伝えしたようにパネトーネの意味は大きなパンですが、実は名前の由来にはもう1つ説があります。
それは、「トニーのパン」という意味のイタリア語「パーネ ディ トーニ(pane di toni)」が訛ったというものです。
トーネとはトニーというお菓子屋の職人を指しています。
トニーには娘がいてその娘と結婚したいという良家の青年が現われるのですが、青年の家族は貧乏なお菓子屋の娘との結婚を認めてくれません。身分違いの恋ってやつですね。
それを認めさせるために青年はある方法を取ります。
クリスマスの前に青年は自分が猟に使っていた鷹を売って、そのお金でトニーに最上の小麦粉や卵、バター、そしてその頃はあまり使われていなかった干しぶどうとレモンを買って最高のクリスマスケーキを作らせました。
このケーキが大ヒット!飛ぶように売れたこの「トニーのパン」が転じてパネトーネとなった、というものです。
このお陰でトニーは一財を築き、貧乏ではなくなったので青年の家族は青年とトニーの娘との結婚を認め許しました。
というめでたいお話になるのですが、あなたはどっちが由来だと思いますか?
現実的なのは大きなパンかなと思うのですが、結婚に一役買ったトニーのパンというのも、ちょっとロマンチックで良いかもしれませんね^^
パネトーネの特徴
このパネトーネの最大の特徴は、使用される酵母にあります。
イタリアの自然酵母「パネトーネ種」を使用したものでなければパネトーネとは言えないんです。
また製造工程にも細かい規定があって、その基準をクリアしているものだけがパネトーネという名前をつけて販売することが出来るという法律もあったりします。
パネトーネ種は、生まれたての子牛が初めてお乳を飲んだ後の腸内から取り出した菌を小麦粉と混ぜて作る、北イタリアのコモ湖周辺でないと培養が難しいとされている酵母です。
酵母と、乳酸菌の働きもある為パネトーネ独特のほんのりと甘酸っぱい、濃厚な香りを生み出します。
また色々な雑菌に耐性を持った酵母菌であり水分・油脂分・糖分に対する耐性が強いので、パネトーネ種で焼いたパンは保水性・防腐性・防菌性に優れていて、結果長期保存が可能となります。
保存状況にもよりますが通常は室内常温保存で3か月から1年以上保存が出来ます。
他に保存方法が無かった頃の人の智恵が生み出した保存食、という訳ですね。
保存が効くとあってクリスマスプレゼントとして海外に贈られることも多いです。
最近長期保存可能なパンをお店で見かけることがありますが、それらはこのパネトーネ酵母菌に由来したものを使っていることが多いです。
北イタリアの空気や環境がパネトーネ菌を育てるので、イタリア以外の国だと菌の発酵や熟成にはかなり高度な職人の技術と勘が必要になります。
勿論本場イタリアであってもパネトーネ種を扱うのはとても難しくて、イタリアの一流パティシエに「お菓子作りで最も難しいのがパネトーネ」と言わしめるほど、高度で専門的な技術が必要です。
加えてパネトーネが出来るまでには発酵と生地を休ませる事を何度も繰り返し~1週間の時間が必要なので非常~に手間がかかります。
なので、料理上手で知られるイタリアのマンマでも現在ではパネトーネは家庭では作らずにパン屋やお菓子屋が作ったものを購入するのが一般的になっています。
最近は日本でも国内のホテルやスーパーなどでパネトーネを見かけるようになっていますが、それらの殆どにはパネトーネ酵母が使われていないものが多いです。
イタリアの特定地域でしか取れない酵母なのでその酵母を輸入しないと本格的なパネトーネを作ることが出来ないんですね。
本来ならパネトーネの生地の発酵にはパネトーネ酵母が必ず使用されていなくてはいけない訳ですが、しかし日本のパネトーネは「パネトーネ風」が大半だったりする訳です。
ネットだと輸入したものを買うことが出来たりもしますから、本場のパネトーネが食べたい!という人はネット利用が便利ですね。
パネトーネの食べ方
パネトーネの売られ方としては、パン屋さんでそのままの状態や袋に入ったものの他に、箱に入ったものもよく見かけます。
大抵こういう台形型の箱に入っています。
これ↓はマフィンサイズの小さいものです。
パネトーネは切って食べるのが一般的です。
半分に切ってから少しずつ切っていったり、ホールケーキと同じように縦に三角に切り分けたりします。生地が柔らかいのでパン切り包丁の方が生地を潰さずに切りやすいです。
少しずつ食べたいなという時は、買ってきたらまず半分に切ってしまって半分を少しずつカットして食べて行った方が毎回空気に触れる部分が少なくて済みます。この時周りに巻いてある紙ははがさないで紙がついたまま切るのがポイントです。
或いは、たとえば8等分などの小分けにしてラップにくるんで保存しても良いですが、細かく分けるとそれだけ空気に触れる面が多くなるのでそこから乾燥しやすくなってしまいます。ちょっと面倒かもしれませんがその都度切った方がおいしさを保てます。
なので、出来るだけ乾燥を防ぐに為にも大きいサイズで切って食べた方が良いです。
大人数で一気に切り分けて食べるならホールケーキと同じように切ったり、それをまたスライスしたりなどして食べれば良いですね。
小さいものなら切らずにそのままちぎって食べたりもします。
勿論大きいものでもちぎって食べても良いですが、そうすると断面がでこぼこになるので乾燥しにくい保存方法にするのがちょっと難しくはなります。
シュトレン同様にクリスマスまでの間に少しずつ食べていくものではありますが、シュトレンは日に日に熟成して旨味も増していきますがパネトーネは乾燥していく傾向にあるので、実際には数日~2周間程度で食べきってしまってまた新たにパネトーネを買ってくる、という食べ方が多かったりします。
パネトーネの保存方法と保存期間
パネトーネの保存方法は、「ラップで包んで袋で常温保存」です。
余ったパネトーネは、切った部分からの乾燥を防ぐためにカットした面に添わせてラップをピッタリと巻いて包みます。せっかくのやわらかい生地が潰れない程度に巻きます。
包んだら元々入っていたビニール袋やジップロック等の保存袋に入れて出来るだけ中の空気を抜いて閉じます。
そうしたら直射日光の当たらない涼しい場所で常温保存しましょう。
保存場所は冷蔵庫や冷凍庫ではなくて常温が適しています。
冷蔵庫などでも保存出来ますが、風味が変わってしまいます。
冷蔵庫だと固くなりますし、冷凍庫だと解凍した時に元通りのふわふわ食感に戻すのは難しいです。
それでも良いなら良いのですが、常温で保存した方がパネトーネ本来の風味を落とさずに保存が出来ます。
ただ、ネットだとイタリアのパネトーネを冷凍したり冷蔵したものを輸入して買えるスタイルのお店が多いです。
その場合は常温で保存してしまうと冷凍、冷蔵の際の湿気でカビが生えてしまう可能性があるので冷蔵庫で保存した方が安心です。
保存期間としては、パネトーネ菌のお陰で長持ちするとは言えしっとりとおいしく食べるには早めに、2週間程で食べ切った方が良いですね。
パネトーネの美味しい食べ方、アレンジ方法
パネトーネはそのままの状態で充分おいしく食べられます。
パネトーネの甘い香りとしっとりした食感を楽しむにはそのまま味わうのが一番。
レーズンや柑橘系のドライフルーツがたくさん入っていて等分も多いのに不思議と甘くどくはなくてあっさりしていて、卵とバター とフルーツ、そしてパネトーネ酵母独特の穏やかな香りと軽い食べ口で案外ぺろりと食べられてしまいます。
ダイエッターさんには危険な食べ物であることは間違いないですね。
ケーキよりはパンに近い、でもパンではない、そんな不思議な、軽い味わいです。
パネトーネの生地にはドライフルーツを入れますが、入れる種類には特に決まりはありません。一般的にはラムレーズンやオレンジピール、レモンピールなど柑橘系が入ったものが多いですが、たとえばオレンジピールやチョコレートを組み合わせたり、リンゴやくるみを入れたりなどお店によっていろいろ個性があります。
食べ比べてみて自分の好みを見付けるのも楽しいですね。
そのままでも美味しいパネトーネですが、色々とアレンジをした食べ方もあります。
まずはザバイオーネと言うクリームを添えて食べる方法。
ザバイオーネは卵黄に砂糖、マルサラワイン、シェリー酒、白ワインなどの洋酒を加えて煮詰めたカスタードクリームのことです。ザバイオーネをそのまま食べても良いですし、パネトーネみたいに何かに添えてつけて食べることも多いです。
ザバイオーネを作るのはちょっと手間…そんな時には生クリームが手軽です。
クリームも混ぜるお酒を変えて、コアントローのオレンジ風味にしたり、チョコチップ入りのチョコクリーム、ピスタチオクリームにしたり等など色々と工夫が出来ます。
マスカルポーネクリームを添えても良いですね。あの爽やかな酸味とドライフルーツはぴったりです。
軽くトーストしても美味しいです。
パンを食べる時みたいに薄くバターやジャムを塗ったり。塗り過ぎるとジャムの味になってしまうのでちょっとだけ塗るのがポイント。
トーストすると外側はパリッと、全体的には温まってふんわりとなるので、そこに生クリームと、あとはバニラアイスを添えるとちょっと贅沢なスイーツに早変わり♪
アイスをチョコにしたりストロベリーにしてみたり、季節のフルーツを添えて食べるのも良いですね。
日が経って固くなってしまったら、蒸し器で5分くらい蒸すとふわふわ食感が戻ってきます。
フレンチトーストにしても柔らかくなっておいしく食べられます。パンプディングみたいなぷるぷる食感になるのでそのまま食べるのとはまた違った美味しさを発見できること間違い無しです♪
折角買ったけどなんだかパサパサしていて美味しくない…なんて悲しい場合でもフレンチトーストにすればふわふわで食べられますよ。
ブランデーやウィスキーをちょっと加えて大人な味にするのも素敵ですね。
また或いは、オーブンで水分を飛ばしてラスク風にも出来ます。ドライフルーツが香るカリッとした食べごたえのある食感が楽しめますよ。
パネトーネとは?特徴と食べ方、保存方法 まとめ
日本でも一般的になりつつあるクリスマスのお菓子、パネトーネ。
イタリアでは朝食やおやつ、食後のデザートとして一日に何度もパネトーネを楽しみます。
珈琲や紅茶だけじゃなくスパークリングワインなどのお酒との相性もバッチリ。
今年のクリスマスはイタリア風に、クリスマスのデコレーションケーキではなくパネトーネでクリスマスを満喫するのも良いかもしれませんね。
せっかくなので思い切って大きいパネトーネを買って、いろんな味で楽しんでみてはいかがでしょうか♪
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