近年日本でも見かけるようになったシュトレン。
クリスマスの時期になると食べられる焼き菓子ですが、シュトレンって、どういうものなんでしょうか?
シュトレンとは?
シュトレンはドイツでクリスマスの時期に食べられる伝統的な菓子パンです。
日本だと「シュトーレン」との表記をよく見かけますがドイツ語の発音としては「シュトレン:Stollen」が正しい表記です。あの独特のドイツ語の発音は日本人には難しかったんですね。
でも、ドイツ圏内でも地域によっては訛りでシュトーレンと言う場所もあるので、シュトーレンが全く間違いというわけでもないです。
シュトレンはパンのようなお菓子のような焼き菓子で、熟成させて食べるものです。
ただ、パンと言っても日本におけるパンはふわふわで柔らかいものが主流ですが、本場のパンはもっと小麦粉の味が感じられるずっしりとした硬いものです。
なので、あのふわふわのパンや柔らかいパウンドケーキを想像して食べると「思ってたんと違う!」となりかねないので、「パン」そもそもの考え方がまず違うんだということは理解しておきましょう。
シュトレンには「坑道」という意味があります。坑道とは主に鉱山などを掘り進める時に作られる通路のことですが、確かにシュトレンを切ってみるとその断面は雪が積もったトンネルのようでもあり、山のようにも見えます。
また或いはイエス・キリストのおくるみを表しているとも言われます。
シュトレンは真っ白で細長い形をしていますが、その形状が幼子イエスを包んでいる白いおくるみの布に見立てられていたりもします。
シュトレンはクリスマスの時期に食べられるものですが、クリスマスの日1日で食べるものではなくて、クリスマスの日に食べ終えるように4週間前から1日に1枚ずつスライスして少しずつ食べていくのが伝統的な食べ方です。
つまりクリスマスを迎えるまでのカウントダウンに食べる食べ物なんですね。
日本で言う「もういくつ寝るとお正月~♪」みたいな、あの感覚です。
シュトレンを完食するとクリスマスがやってくる!という感じです。
そんな長い期間をかけて食べるシュトレンですから保存が利くように作られます。
また熟成させることが目的な菓子でもあって、食べ始めと食べ終わり頃では味わいも違って、時間が経つにつれて熟成されていってより味わい深くなり、日を追うごとに美味しさが増していくのも特徴です。
ではどうやって1ヶ月以上もの間食べられるようにしているのでしょうか?
クリスマスの準備はいつから始めてOK?
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シュトレンが長持ちする理由
どうしてシュトレンは長持ちするのかというと、その作り方にいくつもの工夫がなされているからです。
まず、全体の水分量を低くして作ります。
スポンジケーキなどと違って生地に含まれる水分量が少ないのでカビにくくなります。
次にドライフルーツ。
シュトレンは生地にドライフルーツやナッツをたっぷりと混ぜて焼きますが、ドライフルーツはそのままでも日持ちがする食材ですよね。
これを更に、殺菌効果のある洋酒に1ヶ月以上かけて漬け込んで染み込ませるので更に日持ちがするようになります。ドライフルーツから生地にアルコールや旨味が放出されて腐りにくくなります。
またその他にも数種類のハーブを生地に混ぜることで雑菌の繁殖を抑えます。
生地には大量のバターを練り込み、更に焼き上げた後にも表面を溶かしバターでコーティングします。それに加えて更にその上に粉糖をまぶし覆い保存性を高めます。
砂糖は何年も置いておいてもカビずに食べられることからもわかるように保存性の高い食材で、酸化するのを防いでくれます。
中からはアルコールやフルーツの旨味がだんだん染み出し、表面はバターと砂糖に守られながら、日に日に熟成されておいしくなっていくという仕組みです。
日本でのシュトレン
最近では日本でもシュトレンを見かけるお店が随分と増えてクリスマスの定番お菓子となりつつあります。
伝統的なシュトレンなら普通は最低でも常温で1カ月以上保つように作られているものですが、日本だと日本人好みにレシピをアレンジしているお店も多いです。
本来の保存食の用途ではなく、クリスマス時期に食べるお菓子として日本人に食べやすい味や食感を重視してレシピを変えて作られます。
そうすると賞味期限は1ヶ月も持たず短くなります。
なので、日本要素が強いシュトレンを買ったなら、「シュトレンだから1ヶ月はもつはずでしょ!」と思わずに記載されている賞味期限を守ってそのお店の言う食べ方で食べるのが一番安心です。
いざシュトレンを買おうとしたら、1本数千円もして「こんなに高いの!?」と驚くかもしれません。
シュトレンが高いのは、作るのに手間暇がとてもかかるからです。
先に紹介した長持ちさせるための工夫からも感じられると思います。
まずドライフルーツを1ヶ月以上お酒に漬け込む必要がありますし、何種類ものナッツやハーブ、スパイスを用意する必要もあります。
パンなので発酵させる時間が必要ですし、焼いた後にもバターを塗ったり砂糖をまぶしたりと最後まで手が込んでいます。
本当ならこうやって手間暇かけて作るものなので、それがむしろ極端に安いものは「シュトレンを真似たパンかケーキ」と思った方が良いです。なんちゃってシュトレン。
賞味期限が短いものも本物のシュトレンではありません。
ただ日本人の口馴染みの良いように作られているということでもあるので、どんな感じのものなのか、雰囲気から味わってみたいという場合にはそういう手頃なシュトレンから食べ始めるのもアリです。
それでもそういうシュトレンはやっぱり、日本人好みのふわふわ柔らかいものが多いので、本場のシュトレンはしっとりずっしり噛みごたえと重みがあって全然違う食感のものだということは念頭に置いて食べてもらえたらと思います。
もしも買ってきたシュトレンが生地がスカスカしたものだったなら、それは最低限の材料で作られた、シュトレンになりきれなかった何か、です。
せっかく買ったのに残念ですが、それが本当のシュトレンの味とは思わずに別のお店のシュトレンに再チャレンジしてほしいなと思います。
材料、作り方で味に大きく違いが出るものなので、お店によってその味わいは本当に様々です。
それは本場ドイツでも同じで、言うなれば、日本のおせちも家庭や地域によって味わいが随分変わりますよね。それと同じです。
季節物で値段もそれなりにしますから、どうせならおいしいものを買いたいですよね。
でも食べてみないとそのお店のシュトレンが自分の好みかどうかは残念ながらわかりません。試食が置いてある店だと良いんですけどね。
有名なパン屋さんのシュトレンだからと言って必ずしも自分好みとも限らない訳で、あるならまずは小さいサイズのもので試してみると良いですね。
食べてみないとわからないのはネックではありますが、口に合わなかったら食べ方をアレンジしてみたり、可能ならお友達にあげたりして自分に合うシュトレンはどのお店のかなと食べ比べをするのもまた、楽しみの1つになるのではないでしょうか。
シュトレンとは?本場ドイツと日本のシュトレン まとめ
シュトレンはクリスマスの準備期間から少しずつ食べ始め食べ終える頃にクリスマスを迎える、クリスマスを待ちわびて楽しみながら食べ進める伝統的な焼き菓子です。
日本で売られているものは日本人好みにアレンジされたものも多いですが、初めてシュトレンを食べるならまずはそういったものから入るのも方法です。
本場のシュトレンと食べ比べてみるのも良いかもしれませんね。
今年はクリスマスケーキではなくてクリスマスシュトレンを用意してクリスマスを楽しみに待ってみてはいかがでしょうか♪
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